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〜 Excellent Spin Fan Board 〜


◆ いよいよ競技スケーターのシーズン最終。私も最後。
[RES]
北海道の人
2012/03/21 (Wed) 15:47

やはり世界フィギュアスケート選手権の話題ですね。
私は、特にご贔屓(ひいき)の選手は、いません。
(日本人選手含め。)客観的だと思います。
ながれ的には、アシュリー・ワグナー選手、アリッサ・シズニー選手
だと思います。
今回は、アシュリー・ワグナー選手が、表彰台に立てるような
感じがしています。日本勢どうなのでしょうね。
浅田真央選手、鈴木明子選手・・・。カロリナ・コストナー選手・・。
ただ専門家ではないので。スケート界に、セルジオ越後さんみたい
な専門家が、いたら怒られるかも・・・。
少しクセのある地上波テレビで見ます。

「明石のおじさん」そうとうな太田由希奈さんのファンなのではと
感じています。ケガがなければもっと競技スケーターのほうでも
伸びた人では、と思っていますよ。
これから人生の成功をする道に入っていると思いますよ。
プロスケーターになり、まったこれからどんな職業を兼業するの
でしょうかね。楽しみですね。

スケート界全般なのですが、3年に一度でよいから
北海道(限られますが。)の各地を日本人スケーター(プロ、競技者)がまわり、アイスショーを興行してほしいです。
「私の苦言です。」
北海道の人
2012/03/30 (Fri) 17:19

ん〜ん〜やはり世界は、甘くないですね。
女子フリー終わってからね・・・。思っていること。
「もう少しの女の子」というのは、表彰台に立ってからのこと・・・?
少し辛口ですね。
北海道の人
2012/04/01 (Sun) 09:29

アシュリーワグナー選手、EXに出演できることになりました。
フリーは、成功だったのでしょう。

◆ フィギュアスケートの楽しさ。
[RES]
北海道の人
2012/03/14 (Wed) 22:21

今日は、もうすぐ寝ます。ここは由希奈さんのファンの掲示板です。
私は、去年書いたと思いますが、もともとは由希奈さんのファンでは
ありません。(私も、サイトを汚しってしまっているかも。)

NHKの連続テレビ小説のようにフィクションがあり、作者の思いが
あるのだなぁと思っています。小説にかんしてはなにも言える立場では
ないです。今までの道、それぞれのスケーターにドラマがあると
思っています。

私は、ただただどんなかたちであれ人生の成功を願うことが、
フィギュアのファンのつとめだっと思っています。
あと特に日本なのですが、競技スケーターとしての成功を追い求める
傾向があると思います。それだけでは、ないのではと思っています。
私は、スカパーはもうみれないのですが、
全米選手権を中心にみていました。本来アイスホッケーチームの
体育館アリーナです。しかしフィギュアスケーターがすべると
採点や順位だけではない、それぞれの演技に感動しました。
由希奈さんでは、ない方の大ベテランの男性解説者は、
審査員、世界クラスの知ってる人が5〜6人いると言われていました。
アメリカは、フィギュアスケート大国だと思いました。
そういう感動が、重要だと思っています。
由希奈さんも、女子の解説をやっておられてとても感じが良かった
ですよ。自分自身体験したことも話していました。
それでは・・・。あえて答えは出しません。
北海道の人
2012/03/18 (Sun) 09:42

今私は、作業のためワードをしています。
ご存知の通りBSNHKでバスケットNBA放送していますね。
シカゴですね。普段はこんな感じ・・・。
フィギュアスケートの力は、すごいですね。
由希奈さんの出演するアイスショーも新横浜や
西東京もアイスホッケー場ですしね。
西東京、昔の西武コクドのホームだったような。

◆ エクセレントスピンー栄光なき天才スケーター(フィクション)
[RES]
明石のおじさん
2012/03/15 (Thu) 18:37

13.プロスケーターへ

 半年が経った。
夏、ユキの姿はカナダにあった。
コーチや家族の後押しもあって、カナダのトロントへやってきていた。
しかし、今回はコロラドスプリングスの時のような気持ちになれなかった。いろいろ試してはみたが、競技生活を続けるための方策が見つからなかった。そうこうしているうちに、自分でも気がつかないうちに、ユキは目標を失いつつあった。
季節はめぐり、初秋のある日に、突然ボールドウィンがやってきた。
「ユキ、キミは、ホントにこのままでいいのか」
「何を言ってるの。私は、こうやってがんばってるのに」
「いや、キミがホントにやりたいスケートは、今のスケートなのか」
「そんなことは、わかってるわ。でも、しょうがないじゃないの。基準がそうなんだから」
「いや、ボクはそんなことを言ってるんじゃないんだ。本当のフィギュアって、一体何なんだろう。採点基準にあわせて滑ることなのか、あるいはアイスショーでウケを取ることなのだろうか」
「・・・」
「その答えを世界で一番認識しているのは、キミ自身じゃないかと、ボクは思うんだ」
ユキの頭の中は、一瞬真っ白になり、沈黙の時間が流れた。
「わかったわ。あなたの言いたいことは。確かに、私はいつの間にか一番大切なことを忘れていたのね」
「ホントのことを言うと、あの時ボクはキミを愛し始めていた。しかし、それ以上にボクの中でキミに失って欲しくないものがあることに気づいたんだ」
「ボク達は、競技生活を引退することにしたんだ。その原因は、キミの演技を見てしまったからなんだ」
「あくまでも、美を追求していたキミの姿を。採点基準がどうであろうと。今のキミは、あまりにも競技に目を奪われすぎて、世界で一番輝いているはずのスケーティングを失おうとしている。確かに、キミの足首は競技を続けるために大きなハンディだけど、キミの柔らかさは、最大の武器なんだよ」
「も、もう、言わないで。わかって、わかっていたけど、わかっていたけど・・・」
「そうだね、それを口に出したくても、出さずにキミは頑張ってきたんだからね」
「うっ、うっ」
「もう、いいだろ」
ユキは、思わず、ボールドウィンの胸に泣き崩れた。
アリーナ席から、ボールドウィンのパートナーも目を潤ませながら、その様子を見ていた。
「いいんだよ。もう、ユキ。十分頑張ったんだからというより、キミはホントに頑張るべき世界へ向かって羽ばたくんだよ」
「うん、うん」
 11月26日、22才の誕生日、ユキは心から、やり残したことはないと思えるようになっていた。そして、静かに、競技生活に終止符を打った。

14.エピローグ

競技生活を終え、2年の月日が流れた。
ユキは、アイスショーのリンクに立っていた。
観客席から、「ユキちゃーん」という子供たちの声がリンクにこだまする。
ユキは、子供たちに手を振って応えたあとポジションをとる。
ミュージックスタート・・・

エクセレントスピンー栄光なき天才スケーター 了
(原稿用紙換算:約77枚)

◆ エクセレントスピンー栄光なき天才スケーター(フィクション)
[RES]
明石のおじさん
2012/03/15 (Thu) 10:24

12.死闘

 メロディが鳴り始めた。
 ユキ特有の柔らかく体を広げていく動作と共に、ゆっくりと滑り始めた。                
 他のスケーターの様な滑走音は、ほとんどしない。リンク中央から渦を巻くように加速し、最初のトリプル・トリプルが決まったかのように見えた。ジャンプの前からジャンプ終了までの流れは誰が見ても最高の美しさを醸し出していたが、わずかに回転不足を採られる。
 スケーティング、体のライン、首、腕、指先全てが音楽と一体となって、しなやかに流れていく。
スパイラル、スピン、イナバウアに会場が静まり返る。
 そして、いよいよ全てをかけた中盤のトリプルルッツジャンプ。
一瞬、時間がとまった。
どの観客にも、スローモーションで、いぶし銀のように輝く羽を折りたたみ舞う1羽の白鳥に見えた。
しかし、着氷の瞬間、折れた翼でバランスを崩した白鳥は、人の姿に戻り、氷上に叩きのめされた。
再び、時間が止まった。
しかし、次の瞬間、氷の上なのにユキのまわりにユラユラと陽炎が沸き起こったかと思うと、これまで見たこともないような最高の笑顔を浮かべたユキは、踊りだした。もう、ユキから足の痛みは消えていた。
採点基準を超えていた。
全身全霊、ユキが考え出した彼女の肉体の全てを使ったステップ。
観客からは、ジャンプの失敗など消えていたというより、もはや翼の折れた白鳥の演技の一部にしか見えなかった。
スタンディングオベーション。
いつまでも、鳴り止まない拍手の渦。
すでに、キス&クライへ向かおうとしていたユキを、コーチが制して、
氷上へ指さしてユキに何か語りかけている。
ユキは、氷上の真ん中で、困惑している次の演技者を指さして観客を制するゼスチャを繰り返した。
そして、観客が静かになると、次の演技者に一言二言声をかけながら肩を叩いて、キス&クライへ向かった。
 結果が出るまで、短くも長い長い時がすぎる。
 覚悟はしていたが、順位は後退した。しかし、会場は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
 「何も、思い残すことはなかった」と言いたいところだが、諦めきれない気持ちはいっぱいあった。

◆ どなたか、小説の感想を
[RES]
明石のおじさん
2012/03/14 (Wed) 15:18

なんか、みんなのサイトを汚してしまっているようで、ごめんなさい。
物語は、これから佳境に入り、エンディングへ向かうのですが
反響ないし、やっぱり、全然ダメですよね。
もう、少しなので、最後まで、掲載させてもらっていいでしょうか?
と問いかけるのが、遅すぎですよね(笑)

◆ エクセレントスピンー栄光なき天才スケーター(フィクション)
[RES]
明石のおじさん
2012/03/13 (Tue) 07:50

11.再びの挑戦

ユキは、帰ってきた。再び日本のリンクに立つために。あれから、すでに1年の月日が流れていた。ユキがアメリへ行っている間に、新井は競技を引退したが新たな強敵がたくさん出現していた。また、ユキが子供の頃から、海野コーチからフィギュアを学び続けた京都のスケート場が閉鎖されてしまっていた。海野コーチもあちこちのスケート場を梯子しながら、子供たちにスケートを教えている状況であった。
「ユキ、せっかく帰って来てくれたんだけど、今の私にはというより関西では、とてもじゃないけどまともにスケートの練習ができるところがなくなってしまったの」
「えっ。そうなんですか。噂では聞いてはいましたが、・・・」
「でも、大丈夫よ。あなたさえよければ、東京でスケートを教えてくれるコーチに相談して、そのへんは了解をいただいているの。大学も、編入した上で、また戻ってこれるようにネゴはとってあるわ」
「コーチ、そこまで私のことを、・・・」
「わかりました。私、東京へ行きます。そして、コーチの期待に応えてみせます」
「よかったわ。あなたが、前向きにとらえてくれて。あなたのいない京都は、また寂しくなるけど」
「私もそうですが、私は日本でもアメリカでもたくさんの人から支援と応援していただいてくれた人たちがいて、その人たちのためにもやります。どこまで、やれるかはわかりませんが」

 春になり、ユキは再び京都を離れ東京での生活が始まった。
 「ユキくん、キミがアメリカへ行く前からだが、フィギュアの採点基準は大きく変わってしまった。私もキミの演技を愛する一人ではあるが、競技は別物だ。わかっているとは思うが」
 「はい、竹鼻コーチ。そのあたりは、ビシバシご指導お願いします」
 多くの指導生を持つ竹鼻コーチではあるが、アメリカ帰りのユキにかなりの時間を割いて、指導にあたった。
 根が優しすぎる竹鼻ではあるが、それがゆえの指導の厳しさがあった。
 「ダメだ。ダメだ。何度言ったらわかるんだ。そのポジションは3秒間やらなきゃ、何の意味もないんだぞ」
 「はい、コーチ」
 美しさを追求してきたユキには、なかなかその癖をなくすことができなかった。
しかし、ユキは必死で、練習を重ねた。ここ一番では勝負できるように、トリプルルッツやトリプルフリップも足首に負担が掛からないように工夫しながら練習を繰り返した。
 1ヶ月がすぎ、東京での生活に慣れてきたころ、カムバックを待ちに待ったたくさんのユキファンの声に押されて、とある大阪で開催されたアイスショーに出演することになった。
 スワンレイクのメロディーが流れると、ユキは一羽の白鳥に変身していた。
 会場からは、子供たちの「ユキちゃーん」という大声援。
 静かに、滑走が始まり、流れるようにジャンプ、スパイラル、スピン、レイバックイナバウア、そしてストレートラインステップから、レイバックスピンへと移り、氷上に前後開脚しながら、上半身も氷上に倒れ付し、翼の折れた白鳥が動かなくなった。
 ユキは数秒間、氷上に倒れ付している間、会場は静まり返った。
 ユキが動き出した瞬間、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
 着替え終わって、会場を出てきたユキを海野コーチと竹鼻コーチが待っていた。
 「ユキ、あなたの演技はホント最高ね。でも、これからだね」
 「はい。まだまだの出来でしたが。今年は予選からですが、必ず決勝まで勝ち上がってみせます」
 「足首の調子はどうなの」
 「はい。痛む時もありますが、それと付き合っていくことを覚悟で復帰の道を選んだのですから」
 「竹鼻コーチ、ご苦労をおかけしますがユキのことをよろしくお願いします」
 「いや、私の方こそユキクンを預からせてもらったことに感謝しています」

 それから、ユキは年末の全日本選手権に出場するために、東京での練習を重ねた。さすがに、たくさんの指導生をかかえる竹鼻は何ヶ月もユキにつきっきりというわけにはいかなかった。
 ジャンプが思うようにいかないユキは、焦っていた。10月の近畿ブロックは、多少うまくいかなくても、年末の全日本に照準を絞ればと考えていた。

 10月、地区予選大会が始まった。ユキは近畿ブロックにエントリーした。結果は、惨憺たるものだった。かつて、シニアの四大陸選手権で優勝したことのあるユキにとっては、唇を噛むしかなかった。
 「こんなに、レベルが上がっているとは、・・・」
 「考えが甘かった。とにかく11月、目の前にある西日本ブロックで成績を残さなければ後がない」
 ユキ自身も、足首の関節の弱さを補うためにその周りの筋肉を強化し、演技全体のレベルアップはしていたのだが、予想以上に日本全体のスケートレベルは向上していた。
 ユキは、しばらく足首を回復させるため、スケーティング練習は封印せざるを得なかった。

 11月、西日本選手権、足首は復調してきたが、練習不足もあり、なんとか3位にはいることができて、12月の全日本選手権に出場権を得ることができた。

 12月、いよいよ決戦の時がやってきた。
西日本選手権や東日本選手権ですら、半分以上の選手が当たり前のように3回転のコンビネーションを跳んでくる。ましてや、シード選手ともなるとトリプルアクセルや4回転を跳ぶだけの力を持っている。
 採点基準を考えると、ユキもトリプルルッツやフリップあるいは3回転コンビネーションを跳ばざるを得なかった。この全日本に全てをかけて調整できるのであれば、足首の調子を整えることができたかもしれない。そんなことをいくら考えても仕方ないこととはわかってはいるのだが。

 ショートプログラム、いよいよユキの順番がきた。
トリプルルッツとトリプルフリップを封印し、それ以外の部分でほぼベストを尽くすことができた。ショートプログラムで6位以内に入りフリープログラムで上位を狙いたかったが、順位は7位だった。
「表彰台に登るためには、もうルッツとフリップをやるしかない」

ユキのフリープログラムの順番がやってきた。
ユキは、リンク中央でこれまでのスケート人生を抱きかかえるようにポーズを決めて静止した。
全てをかけた全日本。
昔のような、派手なジャンプはない。
しかし、誰にも負けない世界一のスピン、世界一のフィギュアをひっさげて。
一度は、完全に諦めてしまった夢を叶えようとして、氷上に立っていた。
もう、過去の栄光など何もない。
プライドをかなぐり捨てて、予選からはい上がった足首は限界に超えていた。
彼女のスケート人生をかけた覚悟を知らずに、これからが楽しみなどという無神経なゲスト解説者。
彼女は、リンクの真ん中に立ち、サラ・ブライトマンのメロディを待っていた。

◆ フィギュアスケートの楽しさ
[RES]
北海道の人
2012/03/11 (Sun) 20:17

1年前の未曾有の大災害に心からお見舞い申し上げます。
本当にフィギュアスケートは良いなと思います。
こないだの全米選手権は、サンノゼですね。
LAのステイブルスセンターでもシカゴのユナイテットセンターでも。
普段は、ホームチーム(シャークス)が得点するとブァ〜ブァ〜。
リンク会場が点滅ピカピカピカ。ワ〜本当の氷上の格闘技ですが。
それが、フギュアスケートは、いっぺんに空間が、夢の世界に・・・。
本当にファンで良かったなぁ〜。
それは、競技でなくても、アイスショーでも同じですね。
由希奈さんは、日本では競技スケーターの部分が多いと
いっていました。
また、やはりシングルは、シングルのスケーターですばらしいです。
大ベテランの男性解説者も、「やはりペアのスケーターですね。」
と言われているとおり、ペア専門があるのだと思います。
私は、フィギュアスケートみに行きたいなぁと思います。
少し酔っています。失礼なこともあると思います。
いろいろな表現があると思います。(小説。)
由希奈さんは、プロスケーターなのですからショーで
観客を魅了すれればよいと思います。

◆ エクセレントスピンー栄光なき天才スケーター(フィクション)
[RES]
明石のおじさん
2012/03/10 (Sat) 09:37


10.新たな出会い

ユキが単身日本を立って半月が過ぎ、アメリカのコロラドスプリングスに彼女の姿があった。ユキは、スポーツ医学の病院へ通いながら、足首に負担をかけないレッスンに励んだ。もちろん、練習できないこともあったが、そんな時でも彼女はリンクに姿を見せて、他の人が練習したり、指導を受けているところを見て、ノートに書き留めていた。

そんなユキに、声をかけてきた人物がいた。韓国のキムというコーチだった。
キムは、スケート環境が整っているアメリカで、韓国の子供たちにスケートを教えるためにやってきていた。しかし、彼は国籍など関係なしに、コロラドスプリングスのリンクで彼の教えを必要としているスケーターなら誰でも分け隔てなく指導した。特に、彼自身苦労に苦労を重ねてやってきた人物であり、貧困、ケガ、差別などありとあらゆると言っていい程の逆境を跳ね除けて、フィギュアスケートを極めた指導者であった。それがゆえ、フィギュアスケートで最も大切なことと言っていいメンタルケアを得意としていた。
 「ユキ、焦ってはダメだ」
 「えっ、私」
 「そうだ。キミのことだ。私は、キミのことは良く知っている。ソフィアのジュニアグランプリの頃からね」
 「そんな、前からなんですか」
 「ああ、そうだ。それから、海野コーチからキミのことも聞いている」
 「そんなこと、海野コーチは一言も言っていなかったのに」
 「それは、彼女が私に気を遣ってのことだと思うよ。でも、それは私のことを勘違いしているんだよ。私の仕事は、キミのように悩み苦しんでいるスケータを助けることなんだ」
 「そういうことだったんですか。でも、私は焦ってなんかいませんよ。こうやって、ムリせずに練習しながら、足首の調子が悪ければ見学しながら研究を続けているわ」
 「いや、そういう意味ではなく。おっと、子供たちの休憩時間が終わったので、その点については今晩、私の家に遊びに来てくれたら説明するよ。あそこにいる子供たちもいっしょだよ」
 「はい。わかりました」

 「こんばんは、キムコーチ」
 「こんばんは、ユキ。ほら、みんな、ここにいるのがこの前ビデオで見せたユキ選手だよ」
 「わあ、ホントだ。こんばんは」
 「こんばんは、ユキさん、握手して」
 「こんばんは、ボクも握手して」
といった具合に、そこにいる6人の子供たちが、ユキを取り囲んで握手を求めてきた。
 「さあ、ユキもみんなも一緒に晩ご飯を食べよう」
 「はーい。もう、お腹ペコペコだし」
 「えっ、キムコーチ、私ほとんど初対面みたいなもんだし。そんな」
 「全然、気にしなくていいんだよ。キミは初対面でも、私には全然初対面じゃないんだよ」
 「いだだきまーす」という声がこだました。
 「じゃ、私も遠慮なくいただきます」
 「ところで、昼間の話ですが、私のどこに問題があるんでしょうか」
 「うん、それはだね、特別私からキミに説明するものは、何もないんだよ。ただ、こうして子供たちと一緒に食事をして、一緒にスケートして、一緒に話をすることなんだよ」
 「えっ。そっ、そうなんですか」
 ユキは、目を白黒させた。
 「まあ、そのうちにわかるさ。ここでは、そんなこと忘れて子供たちと寛いでいればいいんだよ」

 翌朝、ユキは足首の調子もよく、リンクに立っていた。
 軽くストレッチを行なった後、スパイラル、スピン、ステップなど足首に負担のかからない練習をしていた。

 「おーい、ユキ、こっちに来ないか」
ユキが振り返ると、キムコーチが手を振っていた。
 「はーい」と返事をしながら、ユキはキムコーチたちの元へ、滑り寄った
 「昨日は、どうもありがとうございました。久しぶりにアットホームな一時を過ごさせていただきまいた」
 「いや、こちらこそ」
 「みんな、ユキ選手だよ」
 「おはようございます。ユキさん」と、子供たちが声を合わせた。
 「おはよう。みんな」
 「ところで、ユキ。少しでいいから、子供たちにキミの滑りを教えてやってくれないか」
 「えっ。私が」
 「そうだ。みんな、キミのビデオを見て、どうしたら、あんな滑りができるのかと私に聞いてくるんだ。無論、ある程度教えてやることはできるんだが、練習方法などキミのやり方があって、あの完成された演技ができたはずだから」
 「私でよければ、喜んで」
 「はい、ユキさん、質問があります」と真っ先に手を挙げた女の子がいた。
 「私は、ヨナといいます。私は、ユキさんのレイバックイナバウアをやろうとしたんだけど、全然うまくいかないの。どうすれば、できるようになるんでしょうか」
 「あれを知ってるんだ。あなた、あれをやろうとしてるのね。私のをマネしようとしているのなら、それはダメよ。あれは、私が自分で考えながら作り出していったもので、今も進化し続けているのよ。より美しい形と動きを追求し、見てる人に感動してもらえることを考えてきた結果なの。だから、あなた自信にとって、美しいと思える滑りを追求してみることなのよ。それに、あれは採点項目から外れているから」
 「じゃあ、私は私なりのイナバウアをやればいいんですね」
 「そうよ。だけど、私から盗めるものがあれば、いくらでも盗んでもらっていいんだよ。じゃあ、一度やってみるね」
ユキは、3回転、2回転のコンビネーションから各種スパイラルから自然な形で、イナバウアを演じた後、シットスピンからレイバックスピンを演じて見せた。
「わかったわ。1つ1つの技も大事だけど、全体の流れの中で、どこで何をやるかを考えることの方が大切なことなんですね」
「そうよ。よく、わかったわね」
「私も、いつかユキさんのように滑れるようになってみせるわ。それまで楽しみにしていてね」
その会話の一部始終を聞いていたキムコーチ聞きながら何ども、頷いていた。
「さあ、二人とも、もういいかな。ユキ、他のみんなにも教えてやってよ」
 「はーい。みんなお待たせ。じゃ、スピンから行くよ」

ユキはコロラドスプリングのリンクでスケートを愛する人達と時間を共にするうちに、メキメキと復調していった。
そして、半年が経ち競技会やアイスショーへも参加できるようになっていった。
しかし、ユキの足はやはり過酷なジャンプには耐えられなかった。
そんな彼女を見ていた1人のフィギュアスケーターがいた。彼は、ペアでいっしょに滑っていた最愛の恋人を交通事故でなくし、もうスケートを辞めようと思っていた。しかし、彼らの青春の全てをかけてやってきたスケートを見放すことができず、もう滑ることはできなかったが、ついついリンクを訪れ彼女と一緒に滑っていた幻影を追い求めるようになっていた。
 そんな彼の視界に、転んでも転んでも、跳び続けるユキが飛び込んできた。いつしか、彼はそのリンクに頻繁に訪れ、視線でユキを追い求めるようになっていった。彼は、ユキがジャンプを跳べないのは実力ではなく、故障のせいであることを見抜いていた。
そして、とあるアシスショーで、派手なジャンプは跳びはしなかったが、あまりにも美しく舞うユキの姿を見て、再びいっしょにリンクに上がりたいという衝動にかられた。
フィギュアスケートでも特にシングルを演じるには、足首というのは生命線であった。彼は、そんなユキを見ていて、ペアやアイスダンスなら、絶対トップをはれるようになれると確信していた。
 アイスショーの終わった後、手紙を添えた花束を手渡した。
 ユキにとって、アイスショーは楽しいイベントであったが、終わった後の疲労は激しかった。衣装を着替えて、荷物と花束を持って帰る。アメリカで身寄りのないユキはバスで帰るしかなかった。
 部屋へ帰り、眠りにつく前に、花束を花瓶に入れようとした時、手紙が溢れ落ちた。
拾い上げた手紙の内容は、シンプルだった。
「一度、ペアやってみないか。明日、キミがいつも練習しているリンクにぼくもいくから。せめて、話だけでもきいてくれ」
  「なんだろうコレは。まっいいか」と思いながら眠りについた。

 翌日、ユキはいつものようにリンクに立ち、ジャンプの練習をしていた。
すると、リンクの中央で派手なトリプルアクセルを繰り返す男がいた。そして、会場の注目が集まると、4回転ジャンプにチャレンジし始めた。結果はというと、全て転倒を繰り返すだけだった。しかし、何度失敗してもチャレンジし続けた。昼食の時間、彼の姿が消えた。
もう、リンクの誰も彼は帰ってこないかと思ったが、帰ってきた。そして、4回転ジャンプ&転倒を繰り返した。リンクの誰もが、彼の体はアザだらけになっていることがわかっていた。
 時間が過ぎ、リンクの外は夕暮れ色に変わりつつあった。ユキには、もう彼が昨日の手紙の主であることは間違いないと思い始めていた。
 その時、彼がまた派手に転倒し、立ち上がれずにいた。たまらず、ユキは彼のところに滑りよっていくと、敗れたウェアの膝から血が滲んでいた。
 「あなた、何を考えているの」
 「キミといっしょだよ」と言って、ニヤっと笑い、ユキを押しどけて、再び滑り始めた。
 彼は、傷ついた足の調子を確かめるようにリンクを一周し、再びリンク中央でジャンプの
態勢に入った。
リンクにいる全ての人の動きが止まった。
その視線は、もちろん彼に集まっていた。
彼は、ゆっくりとした滑走から、これまでになかったような特別なバネで力強く飛び跳ねた。
なぜか、彼の動きはスローモーションビデオのように見えた。1回転、2回転、3回転、4回転完全にまわりきった。
次の瞬間氷のしぶきで彼の姿が消えた。
しぶきの中から、夕日に照らされた彼の姿が現れた。
 静まり返ったリンクに彼の滑走音のみが響いた。
 そして、リンクは割れんばかりの拍手に包まれた。
 彼は、そのままユキの目の前までやってきた。
 「不器用なオレだけど、ペアやってみないか、名前はボールドウィンっていうんだ」
 「あんたも、むちゃくちゃね。私といっしょで」と、言いながらユキは、膝まづいたボールドウィンに手を差し伸べた。
 ほとんどの演技は復調していたユキではあったが、どうしてもトリプルルッツやトリプルフリップなど難易度の高い3回転ジャンプに限界を感じていたユキは、ボールドウィンの熱意に押されて、ペアをやってみようという気になった。
 「明日から、オレはこのリンクに通うよ。悪いが、ペアではオレの方が先輩だ。オレの言うことを聞いてもらうよ」
 「わかったわ。ボールドウィン先輩」と、ユキはニコっと笑った。

 次の日から、ユキとボールドウィンの猛練習が始まった。当初、ユキにとって戸惑う局面も多かったが、元々ペアに要求されるしなやかさの天性を開花させ、1ヶ月あまりの練習を積んでエントリーしたローカルの競技会を総ナメにし始めていった。
 
 そして、2ヶ月が経ち、とある全米選手権の大会で遂に優勝を果たした。短い期間ではあるが苦難を共にしてきたボールドウィンとも喜びを分かち合うことができた。
 優勝直後、かつてボールドウィンとペアを組み恋人でもあった彼女の妹も涙を流して喜びを伝えにきた。ユキには、その涙が単に姉の夢を果たしてくれたという以上の意味があることを感じられた。ボールドウィンも、死に別れた彼女の面影を忘れるために彼女の妹を避け、スケーターである妹のペアのオファーを断っていた。しかし、妹の涙が彼女との思い出を洗い流してしまおうとしていることを強く感じた。それは、ユキの気持ちがこれ以上ボールドウィンへ傾くことを恐れるとともに、この大会で活躍しているシングルの選手たちへの闘争心へとつながっていった。
 表彰式とエキシビジョンが終わり、着替え終わったユキとボールドウィンはロビーで二人きりになった。
 「ボールドウィン、私はあなたに告げなければならないことがあるの」
 「えっ、なんだい。急にあらたまって」
 「ごめんなさい。これまで、ペアに没頭してきたつもりだったんだけど、やっぱり私・・・」
 「今さら何を言ってるんだ。キミの気持ちもよくわかるんだけど、ペアのすばらしさもキミに伝え、キミもやっと昇り調子になってきたところじゃないか」
 「ペアのすばらしさは十分理解したつもりだわ。だけど・・・、少し考えさせて。練習は続けさせてもらおうと思っているし」
 「ダメだ。そんな気持ちでペアは組めないよ。ペアは、気持ちの乱れがあると危険なのは、ユキもわかっているだろ。どっちにしろ、ユキの気持ちの整理がつくまで待っているし、ユキがシングルへ戻るのなら、新しいペアを探すつもりだし。オレは、ユキのおかげで死に別れた恋人とスケートを切り離して考えられるようになった。ユキも、自分の気持ちに正直な方向を目指してほしいんだ」
 「オレは、明日から隣町にある地元のスケート場で練習しているよ。気持ちの整理が着いたら、おいで」と言い残して、ボールドウィンは去っていった。
 ボールドウィンとの出会いから、まだわずか3ヵ月程しか経っていなかったが、一人残されたユキの目からは、なぜかとめどなく涙が溢れ出した。
 
 次の日からユキは、また1人で練習に励む日々が始まった。しかし、コロラドスプリングスのリンクには、キムコーチや子供たちがいた。キムコーチは、ユキの心を全て見透かした様に彼らの輪の中にユキを迎え入れてくれた。
 数日が経ったある夜、みんな練習を終えてスケート場のロビーでテレビに釘付けになっていた。
テレビには、ちょうど4年に1度のオリンピックの映像が映し出されていた。
足のケガさえなかったら、このオリンピックに出ることができたかもしれないという思いが過ぎったが、自分自身でその思考回路を断ち切り、世界の強豪達の演技に釘付けになっていった。
 そして、その時点で、トップスケーターにはい上がった新井の演技が始まった。
 リンクの観客、テレビを見ている全ての視聴者が彼女の演技に釘付けとなっていた。そして、演技が架橋に入ると、新井がセールスポイントにしているレイバックイナバウアで、
場内は一瞬静まり返った。ほとんど、全世界でテレビを見ていた視聴者もそうであったが、
横でいっしょに見ていたヨナが、「あれはユキの」と言った時点で、ユキが彼女の言葉を遮って、「しっ」と人差し指を唇に当てた。
 それでもヨナは、よほど悔しかったのか、「ユキが、もしダメでも、私が必ず世界一になってレイバックイナバウアを演じて、ユキがあみ出したもので、今でもユキがレイバックイナバウアNo1だと、世界中に公表するわ」と言った。
 ユキは、苦笑いしながら、「そんなことは、どうでもいいことなのよ」と言った。
 しかし、ユキの中では沸ふつと闘争心のような熱い気持ちがこみ上げていた。
 「殴り込みをかけよう」と。

 翌日、ユキは隣町のスケート場を訪れた。
 「ユキ、吹っ切れたようだな」
 「はい」
 「オレも、これまで断っていた彼女の妹とペアを組むよ」
 「運がよければ、ソチで会いましょう」

ユキは、アメリカで、できる限りのリハビリとレッスンを積んだ。アメリカにいても、もうこれ以上回復することはない。もう、トリプルルッツジャンプやトリプルフリップジャンプを演技に取り入れることはできないこともわかっていた。
こんな状態で、ゴールドメダリストを産み出した全日本へ殴り込みをかけるなど、正気の沙汰でないことは本人が一番わかっていた。
 しかし、全日本で置き忘れてきた何かを取り戻すために、ユキはどうしても今日本へ帰るしかなかった。

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